少年の恋した女の子は、少年の届かぬところへと行ってしまいました。すべての人間が、「不思議なチカラ」を手に入れた世界。そんな世界の中では、「個人」などあってないようなものでした。チカラの強さや便利さでランク付けされ、「善き世界」のために皆が尽くすのです。「善き世界」の中で、「私」は、「私」でいられない。私とは、貴方とは。「善き世界」の中で生きる、少年少女、そしてオトナ。皆が作り上げる物語はどこへ向かうのでしょう。これは、一人の少年が恋した「佳代子さん」の足跡をたどる物語。ヒロイン不在の、恋物語。