男子高校生、五色　鋏（ごしき　つるぎ）は日々モヤモヤを抱えたまま生活していた。 誰にでも愛される愛嬌たっぷりな美少女幼馴染。 無愛想だが皆が憧れる美人な女教師。 争いに巻き込まれやすい主人公体質な後輩ヤンキー美少女。 誰もがお近づきになりたいと考える面々だが、しかし彼女達のガードは硬くって。　けれど、鋏だけは別。気難しい彼女達も、鋏の存在は受け入れてくれていた。 美少女に囲まれた充実した生活。 そこはいい。 だが誰も、自分と付き合ってくれない。 この三人のヒロインたちとはそれなりのイベントをこなしてきた。　幼馴染の実家が営む喫茶店を閉店の危機から救ってやったり…… 女教師が怪しい土着信仰の村の祭に巻き込まれた際には救ってやったり…… ヤンキー少女が殺人事件の現場に立ち合わせた際には爆弾を止めてやったり…… 好感度アップは確実なイケメンぶりは見せてきた。　一人暮らしの相手の家にお泊りした子もいれば、同棲まがいな事をした子もいる。 それでも、誰も付き合ってくれない。 いや。鋏もそこまでガツガツと迫っているわけではない。 遊びに誘うような軽い気持ちで「付き合おっか？」と言ってはいるものの、暖簾に腕押し。 間違いなく好感度はマックス、な、筈なのに…… まるで『見えない力』に妨害されているような気持ち悪さを、鋏は感じていた。…続きを読む