その男、狂人なり その少女、歌姫なり
著者: 田沼和真
最新: 第1話
時間: 4 月 前
まとめ:
リルケ・シュターナーという男は狂人だ。意味不明な言葉を口にし、会話もままらず、何よりも共に住んでいるカナリアという少女を空気扱いし、完全に無視している。イタリア政府の管轄下にある組織において、殺し屋兼工作員としての身分を持つ男だが、新たな任務として日本を訪れた彼は、万能薬の秘密を握るリアという少女に対し、『場合によって君を殺す』とまで言い放つ。リアの命を救い、さらに、パートナーたるアーシア、カナリアの協力でリアの信頼をどうにか得た彼らの前に、赤い瞳を持つ鬼龍という少年が現れ、彼らと行動を共にする。莫大な遺産を得たリアを狙う者。さらに万能薬を狙うMという男に率いられた者達。それらと対峙しながら、彼等は過去と向き合うことになる。リアは祖父との約束を、アーシアは自らの祖先を、カナリアは自らの辛き過去を・・・。かつて桃源郷と呼ばれた場所にあった宝玉、泉に満たされた万能薬の水、そして、不老不死。それら全てを内包した鬼龍は、リルケに自分の過去を重ねて苛立つことになる。だが、鬼龍達の前に過去が姿を変えて迫り来る。 Mという男によって記憶も身体も変えられてしまった仲間の前に鬼龍は敗北し、リア達は追い詰められた。 だが、自らを鬼子と呼ぶMの前に狂人が現れる。 狂人リルケの前に立つのはM。だが、Mとは、幼き日のリルケが殺しそこなった父親だった。鬼龍は自らのうちにある宝玉の力を炎と変えてかつての仲間達を焼き払い、世界に対する猛毒たる父親をリルケは自らの手で葬った。そして、万能薬を巡る戦いは幕を閉じ、それぞれの者は、それぞれのいるべき場所に帰るのだった。…続きを読む