唄え、踊れ、叫べ。今を生きる、明日を生きる、性欲強めのウサギたちよ。

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時間: 4 月 前
まとめ:

蒔田皐醒は、共に在る誰かのことを歪めてしまう。 ……少なくとも皐醒自身はそう自覚して生きているのだった。 小学校時代、皐醒をいじめの対象としていた男は高校で再開した皐醒に、動機が皐醒への恋愛感情にあると告白した。その男を許し、恋人として幸せに過ごせた時間は儚いほどに僅か。皐醒が再びいじめに遭ったとき、恋人は全てを壊して皐醒を救い、目の前で自ら命を絶った。そんな経験が皐醒にはあった。 ウイルスが猛威を奮う二〇二一年、美しい同僚の中寉への嫉妬から勤めていたゲイバーを辞めてしまった皐醒は自身のパートナーである幸太郎からのDVを受けて生きていた。自分のせいで歪んでしまった男の暴力に耐え、心を竦ませて生きる最中、皐醒はパートナーから発展場となっているとある駅のトイレで美人局をするよう強要された。死んでしまったかつての恋人のためにも、不幸な生をどこまでも歩んで行かなければならないと思う皐醒を救い出したのは、二年前に観に行ったライブで知り合ったインディーズバンドのボーカルだった男、大月結人だった。 皐醒くんの心は傷ついちゃいけない、だって皐醒くんはめちゃくちゃ綺麗な心をしてるんだから。俺は命を懸けて皐醒くんのことを守ってみせるよ、だからどうか、そばにいて……。大月の厚意に甘える形で始まった夢のような新生活。優しくて強くて格好良くて可愛らしい、理想的な大月との暮らしの中で、皐醒はいつか彼を不幸にしてしまうことを恐れながらも、敬愛する「老師」の支えもあって、ようやく人生の甘いところを味わう。しかしその幸せも束の間、皐醒は幸太郎が自分と付き合う以前からあちこちの発展場を荒らしていた問題人物であったことを知り、困惑に陥る。幸太郎は自分によって歪んでしまったのではなく、元より問題を抱えた人間だったのだ。事実をどう受け止めたらよいのか戸惑う皐醒に追い討ちをかけるように、大月が体調を崩した。病院に行く金がない。貧しいながらも保たれていた幸せが壊れてしまうこと、それ以上に大月の健康が、命が、自分の存在ゆえに損なわれてしまうことを耐え難く思った皐醒は、自ら発展場で身体を売って金を稼ぐことを思い付くが……。 中寉と老師によって窮地を脱した皐醒と大月。皐醒には恋人が、友人がいて、仲間もいる、誰も歪んでなどいない、歪ませられるほど大それたものでもないのだった。清らかな心を備えた皐醒には、虐げられて生きた時間の長い分だけ、愛に囲まれて生きる権利があった。 皐醒は大月と中寉、そして老師と四人で音楽を始める。いまだ世界は病のヘルタースケルターの中にあるけれど、賑やかに歌い奏でる配信ライブが幕を開ける。+++ 性描写・法令に抵触する行為、自殺の描写を含みますが、この物語はそれらの行為を容認・推奨するものではありません。…続きを読む

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