新婚二年目の池田吾郎、良枝夫婦の隣に、新婚の村田茂、由美夫婦が引っ越してくる。この二組の夫婦のそれぞれの立場からの行動と、気持ちの移り変わりで物語りは進行していく。そこに良枝の大学時代のサークルの先輩である坂口祐二が関わってきて、さらに彼の知り合いである飯田が深く切り込むように参画してくる。物語における飯田の死はどういう意味があるのか？　幼少時代の苛めの記憶や三すくみの関係により、ラストにおける「つぶやき」が衝撃の大団円を演出していく。果たして呟いたのは誰だったのだろう？　まわりがいかに考え、いかに動いたか。この物語は主題があるわけではないが、それぞれで揺れ動く心理を、それぞれの目を通して見た架空のお話である。