君の遺作の少女漫画を完成させる夢を、僕が引き継ぐ

第30回電撃小説大賞 70K Active
時間: 4 月 前
まとめ:

中三の冬、事故にて幼なじみ女子の瞳未を目の前で亡くしたトラウマにより感情を抑制するようになった男子の林野は、高校に入学したものの、中学でしていた水泳にも乗り気にならず、誰とも交流せず死んだように過ごしていた。瞳未は少女漫画家志望だが、友達や親にも内緒で漫画投稿をしていたという過去を持っていた。遺作は下書きを完成させた段階で止まっており、それに息を吹き込み、夢を引き継ぐことで亡くなった瞳未が報われるのではないかと考えた林野は、素人ながら遺作にペン入れを独学で始める。それを同じクラスで漫画研究部の唯一の部員である女子の秋谷に知られ、入部と引き換えに、漫画制作の方法や少女漫画のワクワクする気持ちのレクチャーを受け、遺作を共作で完成させるハメになる。漫画制作を通して、瞳未の妹と悲しみを分かち合えるようになり、友達もでき、そして、おざなりにしていた水泳にも向き合えるようになる。しかし罪悪感ゆえに秋谷が林野と距離を置くようになり、持病で学校を休みがちになる。やがて林野も、故人の瞳未より秋谷を想う気持ちが勝っていく。紆余曲折乗り越え、新しく好きな人が出来ることは生きている証拠だと割りきった林野は、お互いの完成させた漫画を交換したときに気持ちを告白する。完成した二人の原稿は瞳未が投稿していた雑誌の編集者に見せ、かつての瞳未の担当が秋谷の担当になり、秋谷はプロデビューを目指すことになる。また、林野の描いた遺作は、おざなりになっていた瞳未の一周忌で遺品として参列者に見守られながらお焚きあげされた。漫研を辞めた林野は水泳部に入り、彼女の秋谷に見守られながら水泳に打ち込む。失っていた『楽しい』という感情を取り戻した。…続きを読む

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