余命一年未満、少女の最初で最期の恋
余命一年未満の十六歳少女、猪野萩乃には生きる楽しみが少ない。その一つが、たまに見ることのできる夢で会える大森くんとの会話。そういう日常のある日、自由意志でプレイできる最新ゲーム『わたしだけの大森正男くんを攻略しちゃうよ!』に興味を持ち、兄に購入してもらう。短い人生、最初で最期の恋ができるかもしれないと、淡い期待を抱く。ところがゲームの第1話が始まって少し進むと、必ずシステムエラーで落ちてしまう。システム開発のプロである兄が、異世界から紛れ込んでいる別の大森正男が原因だと推察し、翌日サポート担当の吉兆寺桜に調査してもらうことになる。ゲーム世界で、正男は状況がわからず混乱状態に陥っていた。調査にきた桜から詰問されたり話を聞かされたりする。かいつまんで言うと、正男は「サイボーグで幽霊でバグな侵入者」という想定外の危うい存在なのだった。その正男にもゲームに参加してもらい、ようやく第1話が進みだす。しかし萩乃と正男の意志の衝突が原因で、不安な状態がしばらく続く。兄からの助言を受け、萩乃は大きな障壁だった正男の死亡フラグを回避する策を考える。それから萩乃と正男は文化委員になる。二人に与えられる任務は「鬼退治」だった。オニサピエンスという人類種の学生がキレて鬼と化したなら、戦って去勢処置を施さなければならない。萩乃はためらいながらも、正男との親睦も深まったこともあり、少しは前向きになれた。次の週、講義室で一人の男子が鬼化した。すぐさま萩乃が前衛、正男が後衛という立場で戦闘が開始する。だが心優しい萩乃は鬼の角をへし折ることなどできず、あっさりとゲームオーバーになった。萩乃はすぐに再挑戦を決める。ところが今度は文化委員の緊急会議に呼び出され、正男が萩乃に代わって前衛をやりたいと言いだす。(補足事項) 本作品はフィクションであり、暴力など反社会的行為や法律違反・差別等を助長する意図は一切ありません。アルファポリスさんで重複投稿しています。…続きを読む