豊臣政権における徳川家康の苦難の日々が始まる
天正14年10月、徳川家康は上洛し豊臣秀吉に臣従を誓う。 織田信長の死後、家康と秀吉は天下を巡って争ってきた。しかし、秀吉は周辺大名による包囲網を打ち破り、今や軍事・政治・経済の全てにおいて確固たる基盤を築くに至った。 これにより家康が秀吉に勝てる見込みは無くなる。 加えて、豊臣秀長や豊臣秀次を始めとする優秀な人材が豊臣政権を支えており、この先は各地の大名を順次討伐していくだけの消化試合となった。 しかし、これは家康にとってもまたとない機会だった。 幼い頃からの戦続きの世にはとうに疲れ果て、織田信長や今川義元のようにある日突然全てを失うことに怯える日々。そんな日々も秀吉が天下を統一すれば終わりを迎える。 秀吉が天下を統一するのは時間の問題であり、臣従を誓うのであれば秀吉が家康を高く買ってくれている今しかない。領地は既に十分あり、ここから権勢を拡大しても面倒ごとが増えるだけ。 それならば、秀吉に天下を治めさせ、家臣として適当に過ごした方がよほど望みに近い。 天下人という面倒な仕事は秀吉に任せ、自分は強力な豊臣政権の下で安らかな老後を得るため、家康は豊臣政権の一家臣として生きる道を選択する。 そしてこの選択は思いも寄らぬ結果となり、信じていた明るい未来は崩れ落ちていくことになるが、この時の家康には知るよしもなかった。 豊臣政権における家康の苦難の日々が始まる。--------------------------------------------------注記本作は歴史初心者でも分かりやすいよう、人名などの表記はよく知られているものを用います。氏姓名官位などが入り交じると分かりにくいため、身分の差などを無視して分かりやすさを優先します。真面目な歴史物ではなく、緩い感じのお話です。史実と異なる箇所については目をつぶって下さい。大河は書き終わったら視聴します。…続きを読む