剣に魅せられ、剣に狂い、剣に捧げる。
著者: 文月紲
最新: 第16話 その瞳は透き通っていた
時間: 5 月 前
まとめ:
ある世界に一人の男がいた。その世界では魔術が発達し、剣士といえば鎧を着て盾を使うものというのが一般常識だった。しかし、男が幼少期に見た剣士は違った。鎧を纏わず、盾を使わず。ただ、一振りの剣のみでバケモノに立ち向かう。男はその姿に魅せられ、憧れた。だが、男には才能が無かった。成長するにつれて現実を直視し、結局は鎧と盾を身に着ける剣士となった。そんな男は一体の魔物と相対する。仲間は全て死に、後は自分だけ。極限の状態の中、男は本当の欲望を思い出す。―剣を振りたい鎧を脱ぎ捨て、盾を放り投げる。男はかつて見た姿と同様に、一振りの剣だけで魔物に立ち向かった。しかし、呆気なく胸を貫かれ、死ぬのだと悟る。そして悔しさが込め上げて願った。―次の人生は才能が欲しいと。これは一人の男が剣に魅せられ、剣に狂い、剣に捧げる物語である。…続きを読む