兄だと思い、捜していた人は兄ではありませんでした。

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時間: 4 月 前
まとめ:

朝田朱音(あさだあかと)には、片手で数えられる年齢の時、二歳年上の『兄』がいた。しかし、その『しおんにぃ』と呼んでいたその兄は、「朱音のそばにいられない」と言って、朱音の前から消えてしまった。去り際、二人で作った、合わせるとハートの形になるストラップを交換して。それから高校生となった朱音は、今日も紫色の片割れのストラップを見つめながら物思いにふけつつ、『しおんにぃ』を捜していると、朱色の片割れのストラップを携帯端末に付けている人を見つけた。『しおんにぃ』だと確信した朱音は、咄嗟に声を掛けたが、露骨に嫌そうな顔をし、こう言い放った。「俺に兄弟なんていないが?」その人物がいなくなった後、廊下で泣き叫ぶ朱音であったが、友人の大野に慰められながら、「あんな態度をするのは、きっと長年会えない間に悪の組織に魔改造されたんだ!」と叫び、その日の昼休みから『しおんにぃ』を捜すことに。しかし、捜してみるもののすぐには見つからない上に、親切に声をかけてきてくれた三年が朱音と同じ名字だという、会わせてくれた先輩に殴られそうになり、咄嗟に逃げる。逃げた先で昔よく聞いていたヴァイオリンの音色と、すれ違った女子達の会話によって、『しおんにぃ』は「新倉」という名字だったことを思い出し、その音色を追って音楽室へ。が、一歩遅かったらしく、『しおんにぃ』の姿はかった。放課後、友人達が慰めようとゲーセンに行こうとした時、クラスメートの女子達の会話から『しおんにぃ』が屋上にいることを知り、屋上へ。すると、ヴァイオリンを弾いている『しおんにぃ』の姿を見かけ、声を掛けようとするが、どことなく悲しげに見えた。と、そうしている時『しおんにぃ』の方から気づき、移動教室の最中に出会った時のような態度で、「しおんにぃと呼ぶな」と言い、胸ぐらを掴んだ後、唇を重ね、さらには「紫音と呼べ」と言われる。しおんにぃ──もとい、紫音の行動がまるっきり分からない朱音は次の朝、呆然としていたところを母が大きな声で言ってくる。話の流れから、朱音は昔から紫音にしか興味がなく、紫音が好きなのかと問われ、思い返す。そして、通学中、紫音が昔コンクールで賞を取った記事を携帯端末で見ていると、大野にバレたことがきっかけで「紫音とは兄弟じゃなかった」ことを打ち明ける。大野は「ずっと想い続けた結果、会えたのはすげぇこと」と言われたことにより、紫音に会いに行くことを決意する。昔と変わらない優しい部分を見せる紫音と過ごしていくうちに、少しずつ意識が芽生え、そして、大きなきっかけとなった文化祭で、紫音に"慰めてもらった"時に、紫音に告白され、放心状態となっていた朱音であったが、自分も言おうと口に開いた時、突然態度を変え、「もう、俺の前には来ないでくれ」と言われてしまい……。※カクヨムの規定に則り性描写は非公開。…続きを読む

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