日本一の、いや世界一の自宅警備員に、オレはなるっ!

Other 60K Active
著者: 沢田和早
時間: 4 月 前
まとめ:

明四津日乃出は自宅警備員である。この職に就いたのは8年以上前。今年31歳になる日乃出の自宅警備員としての腕前は、既にベテランと呼べる域に達していた。築70年を超える自宅には様々な難敵が襲い掛かる。害虫、鳥の糞、セールスマン、子供が壁に投げつけるボール。それらの困難を乗り切りながら、大切な我が家をたった一人で守り続ける日乃出。これは孤独な一人暮らしを続けながら世界一の自宅警備員になることを夢見て努力する、一人の男の物語である。主な登場人物明四津 日乃出(あけよつ ひので)祖母の遺言を叶えるために明四津家の屋敷を死守する自宅警備員。屋敷の周囲は立ち退きが完了し広大な空き地になっている。町役場からは週に一度職員が説得にやって来るが、自宅警備員の業を駆使することで4年間立ち退きを拒否し続けている。基本的に無収入。預金を取り崩して生活費に充てているため、質素倹約を心掛け修行僧の如き毎日である。唯一の楽しみは2か月に一度のたこ焼き。座右の銘は「我以外皆我師」丑光 四十万(うしみつ しじま)時鐘町役場建設部土木課課長。道路拡張工事の責任者。妻に先立たれ二人の子供は家を離れ、現在一人暮らしの中年男性。日乃出の説得を4年間続けているが立ち退かせることができず、今年4月からは担当を外され別の業務に就いている。暮六尽 入日(くれむつ いりひ) 時鐘町役場建設部土木課職員。今年東京の女子大を卒業して役場に入ったばかりの新米。4月から丑光に代わって明四津家立ち退き業務担当になる。常に「立ち退き同意書」を持ち歩き、事あるごとに日乃出にサインをせがむ。慇懃無礼、非常識、自己中心、世間知らずと、職員としてのレベルは最低ながら、料理の腕前は高級料亭の板前並みに優れている。ほろ酔いになるとIQが200に跳ね上がる特異体質の持ち主。ポチ先輩(ぽちせんぱい)日乃出の知り合いの家で飼われている番犬。日乃出からは「史上最強の自宅警備員」として尊敬されている。業務遂行に行き詰まって悩んでいた日乃出に、自宅警備員究極奥義「ゴキブリ退散術」を伝授する。滅多に吠えない。犬種はシベリアンハスキー。暮六尽 逢魔時(くれむつ おまじ)時鐘町議会議員を10期務めた町の重鎮。暮六尽コーポレーションの会長でもある。町道拡張事業に乗じ、町に働きかけて大型遊技施設建設を強引に認可させた。明四津家立ち退きの原因を作った張本人として、日乃出からは不倶戴天の敵と見なされている。孫娘の入日からは「オマ爺」と呼ばれている。…続きを読む

Top