【聴覚】――寄せては返す望みの中で、憧れと嫉妬に迷った
著者: 郷倉四季
時間: 4 月 前
まとめ:
2013年、夏。「別に、俺が遅い訳じゃないんだよ。単純に、あの人の走りがやばすぎるだけだ。なんなんだよ、あれは」 情熱乃風という走り屋集団を解散させた男、川島疾風。 一線を退いてなお、未だに実力差は埋まらない。 極道をやって、度胸をつけた。 もう、疾風よりも速く車を走らせられる。 そう嘯いた藤澤はあっさりと峠で川島疾風の愛車――MR2に追い抜かれてしまった。 誰にも追いつけない男、疾風はヤクザの息子、田宮由紀夫と揉めて失踪した。彼の居場所は誰も知らない。 田宮と揉めた場所、槻本山は年ごとに極道が管理する約束がなされていて、問題になった。 疾風は巖田屋会と関わりを持っていた時期があり、揉めた田宮由紀夫の父が属する田宮組は無双組。 巖田屋会からすれば敵対勢力だった。 藤澤も巖田屋会に属し、事態の収拾を図る会談に参加していた。 そして、ヤクザの会談は二人の高校生によって、めちゃくちゃにされてしまう――。 川島疾風の弟分だと啖呵を切る守田裕と中谷勇次。 混乱の最中、巖田屋会岩城組の岩城会長が流れ弾に当たった。 抗争の引き金を引きながら、中谷勇次は誰よりも速く走る男のように自分を貫く。「てめぇ、兄貴がどうなったか知ってんだろ? 本当は、まだ生きてるんだろ。どうなんだよ、おい?」 藤澤は川島疾風に憧れ、中谷勇次に嫉妬する。 著者、倉木さとし。…続きを読む