良くない未来も、あなたとなら歩いて行ける
著者: suiho
時間: 5 月 前
まとめ:
羽鳴蝶子《はなりちょうこ》は人の些細な動きから起こるその後の大きな結果を観測できる。蝶子は予知にも似たその力を『虫の知らせ』と名付け忌み嫌っていた。理由は一度結果を見るとどんな内容でも変えようがないからだ。幼い頃に友人の悪い未来を見て以来、身近な人の不幸を見続け、中学入学時には蝶子の両親を巻き込んだ交通事故の未来も見てしまう。この事故が原因で蝶子の母親は帰らぬ人となり、蝶子はこれ以上他者の不幸を見ないように他人との関わりを避けるようになる。 高校生になった蝶子は入学式で桶屋風戸《おけやかざと》と出会い、初対面の彼が自分に好意を抱いたためにナイフで刺される未来を見る。ただ好意を抱いて刺されるまでの経過が不明瞭だったので、蝶子は風戸との接触を避けることで運命を変えようとする。だが風戸は落とし物をした蝶子に物を届けるため彼女に話しかける。過去に助けてもらった感謝の言葉を告げるためにも。 少女は少年と自身の未来を変えるため、風に翻弄される蝶のような騒がしい青春を始める。…続きを読む