15の夏、おれの人生が変わった

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著者: 衣草薫
最新: 最終話
時間: 4 月 前
まとめ:

※ネタバレ注意※ 中学三年生の湊つばめ(みなと・つばめ)は、母の再婚をきっかけに家庭に居場所がなくなり、逃げるように祖母と暮らしていた。だが高校受験当日、会場へ向かう電車の中で祖母の訃報を知らされる。受験を放り出して駆け付けるも、つばめは最愛の祖母の死に呆然とすることしかできない。あわただしく葬儀が執り行われる中、弔問客として一人の老紳士が訪れる。 近衛雄仁(このえ・ゆうじん)と名乗る男は、祖母とは旧知の仲で、その時に受けた恩を返したいと言う。高校浪人となったつばめの事情を聞いた近衛は、自らが経営する孤島の学園『碧波学園(あおなみがくえん)』へとつばめを招待する。碧波学園は東京から遠く離れた島にあり、そこは独特のシステムで動く有名な海上の学園都市でもあった。つばめはありがたくその申し出を受けることにする。無事高校生となり、寮生活を送るつばめは、お金を稼ぐために古本屋でバイトを始める。そこで近衛の孫である近衛陣(このえ・じん)と出会う。ぶっきらぼうで、初対面からやたらつばめに当たりの強い陣。だがつばめはやがて、分りにくい彼の優しさに気づき、惹かれていく。 ある日、バイト先で万引きが起きる。三年生の佐久間隼人(さくま・はやと)を現行犯で捕まえるが、彼は誰かに脅されて万引きをさせられていた。つばめと陣は、佐久間に万引きをさせていた人物を突き止めようと動き出す。佐久間が脅されるきっかけになったのは、元ミスコングランプリの仮屋玲香(かりや・れいか)に高いアクセサリーをねだられ、万引きをしてしまったことだった。二人は仮屋が何かしらの事情を知っていると睨み、ミスコンの運営にも話を聞きに行くも門前払い。またこの学園には広大な敷地に大量の学生がいるため、仮屋探しは難航する。 そんな中つばめたちは、ミスコンの準グランプリで、仮屋とは犬猿の仲だった少女・モモや、仮屋の元彼の花村(はなむら)と出会い、仮屋の情報を得る。だが二人をあざ笑うかのように、佐久間がつばめたちの前から忽然と姿を消す。ある日、モモから得た情報を基に、三年生の進路説明会の会場で仮屋を探していると、つばめたちは陣の従兄である近衛恭介(このえ・きょうすけ)に出くわす。だが恭介を前に、陣の様子がおかしい。以後陣は、万引きの件からも手を引くと言い出し、一人殻に閉じこもってしまう。以前から薄々感じていた彼らの間にある確執。つばめがそんな状況に手をこまねいているうちに、陣はつばめから距離を置くようにバイトもやめてしまう。「俺は人殺しなんだ」という言葉を残して。 つばめは必死に陣への思いを伝えるが、返事はない。八方ふさがりになったとき、モモから、恭介こそがミスコンの創始者であり、仮屋の現恋人であることを知らされる。またひょんなことからミスコンの運営委員会の一人が、万引きが行われた時間に店内にいたことを知り、仮屋、ミスコン運営、恭介の三者に繋がりがあったことに気づく。  佐久間が消えた今、次のターゲットが花村であることに気づいたつばめは、陣にメールで協力を仰ぐ。スーパーで万引きしようとする花村と、それを背後から撮影している男を見つける。この男もまた、ミスコン運営の一人だった。逃げた男を捕まえたのは陣。仲直りした二人は、お互いの情報を突き合わせ、ようやく真実にたどり着く。恭介は仮屋に貢ぐため、佐久間を脅して万引きさせ、その結果をライブ中継しながら賭けのネタにしていたのだ。 陣もかつて、親戚一同が集まるたびに恭介から無理な賭けを持ちかけられてはいじめられていた。「陣の兄が、海に飛びこめるか否か」――兄ならできると幼い陣は主張したが、それが原因で兄は命を落としてしまう、それが陣のトラウマとなっていた。恭介はそのゆがんだ人間性のまま、今では運営のメンバーがプレイヤー、恭介が胴元という形で、毎月荒稼ぎをしていた(恭介はじめ運営のメンバーはみな裕福な家庭出身)。それまでに得た情報から恭介たちが島のはずれのバーベキュー場にいることを突き止め、彼らのところに乗り込む。証拠を掴み、恭介を糾弾するつばめ。しかし激高した恭介はつばめを嘲笑し、暴言を吐く。それをかばう陣。 すると、そこに陣が呼びつけた近衛理事長が現れる。突然の祖父の登場に動揺する恭介だったが、近衛は孫である恭介の悪事を白日の下に晒す決意を示す。つばめや恭介にはなにもできないとタカをくくっていた恭介だったが、運営のメンバーと共に、しかるべき処罰が下されることになった。過去を乗り越えられたのはつばめのおかげだと陣は言い、二人の仲は一歩前進したのだった。…続きを読む

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