人と散りゆく妖狐の、純粋な悲恋の物語。

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著者: 青時雨
時間: 4 月 前
まとめ:

ある夏祭りの夜、人の娘と白妖狐は出会う。以下はこの物語の最初から最後までのあらすじです。(ネタバレ注意↓)人の娘と白妖狐の織りなす恋物語です。主人公の妖としてまだ力を持っている白妖狐想(そう)が、生まれて初めての夏祭りに神社の境内で迷子になってしまう。迷子になっていた人の子である夏夢(なつゆめ)と出会い、二人の恋は紡がれていく。 夏夢の幼馴染、彼方(かなた)、蒼(あお)、友(とも)にさえ秘密にしている二人の関係。彼方は夏夢に想いをよせており、蒼と友は互いに想い合っているが鈍感さ故にどちらも片思いだと思っている。 認められていない妖狐は人と会ってはいけない妖狐は人と会ってはいけないのにも関わらず、その掟を破った想は生涯誰からも認められない妖狐として孤立してしまう。そんな中、彼に寄り添ってくれたのは兄のような存在である滝(たき)とその友人である陰陽師のかをるだった。かつて滝も人の娘と恋仲にあったが、人と妖狐の間に隔たる壁の高さに絶望し悲恋で幕を閉じている。 しばらく会うことが出来ないと告げた想は、三年後に陰陽師寺にてかくれんぼをしていた夏夢と再会する。それから止まっていた二人の時間が動き出し、陰陽師寺で西瓜を食べたり花火をしたりして楽しむ想と夏夢。 しかし想は、やかり生きる世界を異にする人と妖狐が共にいてはならないと思い直す。夏の終わりを告げる夏祭り。想は覚悟のもと夏夢と夏祭りを回る。祭りの最後に想は自身の持つ〝忘却〟の力を使い、夏夢の持つ想の記憶を消した。 一度は夏夢を諦めると決めた想だったが、生きた屍のようになってしまった想を思い、かをるがあることを助言する。運命が許せば、二人が結ばれることも許されるのではないかと。 春、何かを始めるのにぴったりの季節に、想は人になることを望む。 それからまたしばらく月日が経ち、夏夢は高校生になっていた。かをるによって人に変えてもらった想は夏夢と同じ高校へ通うことになる。中学から夢を追いかけるために地元を出て東京でモデルをしていた友は、ドラマの主演に大抜擢され撮影場所である地元に戻って来ていた。友を巡ってドラマのヒロイン役であるココアと友の友人である蒼の対立が続く。 想が今後もずっと人として生きて行くためには、夏夢に自力で自分のことを思い出してもらわなければならないという条件があった。 夏夢は想の存在を思い出しそうになるものの、謎の頭痛に襲われ思い出すことが出来ない。 高校一年生の夏祭り、想は苦しむ夏夢を見て今度こそこの恋を諦めようと決心する。しかし忘却の術をかけようとしたその時、夏夢は想に関する記憶を全て思い出す。 しかし想が昔かけた術が暴走し、夏夢は突然苦しみ出してしまう。彼女の思い出してしまった記憶を消すべく、想と駆けつけた彼方は彼女の記憶の中へと足を踏み入れる。 夏夢に思い出してもらう可能性を自分で潰してしまった想は、人でも妖狐でもない夏にも咲く不思議な桜と化してしまう。 想の記憶をなくしてもなお、夏夢は心のどこかで想のことを想っているのか!大人になった夏夢はその桜の木に〝儚夏想(ぼうかそう)〟と名付けたのだった。 それから40年後、人と妖狐の恋物語はいつの世でも繰り返されることが彷彿とさせられるシーンでこの物語は終わる。 春と夏を舞台とした、無垢で純粋な恋物語です。…続きを読む

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